小説

芥川龍之介

芥川龍之介『奉教人の死』 お前の苦しみは、私がいちばんよく知っている。

芥川龍之介は新約聖書を愛読していたそうです。彼のキリスト教観には様々な意見があるようですが、少なくともキリスト教に入信していたわけではなく、先進文化としての西洋文明・思想の源流としての興味、そして批判の対象としていたというのが一般的な理解...
芥川龍之介

芥川龍之介『猿』 叩かれる孤独と叩く孤独

私はかつて、聖書を愛読しているにもかかわらず信仰心は持っていなかったという芥川龍之介のキリスト教観を不可解なものだと思っていましたが、今ではこの両者は矛盾することなく両立しうるものであると確信しています。 神を信じない者がそ...
カフカ

カフカ『断食芸人』 これは私たちの物語

断食がエンタメ? 本作は20ページにも満たない短編小説です。カフカといえば『変身』や『審判』『城』など一見不可思議・不条理な物語を描く作家というイメージが一般的かもしれませんが、本作の世界もまた不可思議です。なにせ「断食を見物するこ...
ガストン・ルルー

『オペラ座の怪人』 ファントムが求めた愛のようなもの(原作・舞台)

「人に愛されるためにはまず自分から人を愛さねばならぬ」と言いますが、一度たりとも人に愛された記憶を持たない者が、それでも自ら先んじて人を愛することは可能なのでしょうか? もしかすると愛情というものは投資に似て、適切な「銘柄」...
カフカ

カフカ『変身』 世界の異物になるとき。世界が異物になるとき。

ある日突然大きな毒虫に変身した青年グレゴール・ザムザの顛末を描く『変身』。現代社会に置き換えるならば例えば「引きこもり」や「うつ病」、はたまた「認知症」など、一般的な生活からかけ離れてしまった人々とのかかわりの難しさ、痛ましさ等と...
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